初めて色になる

音楽、特撮、雑記

完璧主義者とうつ

わたしがうつ状態と診断されたのは、突如任せられた社外での仕事が原因だった。


それまでの3年間社内で働いていたのに突然社外に配属されたこと、それまで何度か携わったことはあるもののまったく本職でもない仕事を質問できる人がいない状態でしなければいけなかったこと、なにがわからないのかもわからない状態のまま周りに急かされたこと、いろいろな理由が重なった。それまでも社内の仕事のストレスの積み重ねでなかなか寝付けずにいたのが、ようやく寝付けても夜中に何度も目が覚める状態になって、頭がボーッとして、何かに追われるような感覚になって、やがて朝の電車でわたしは泣き崩れた。

完璧主義だと人から言われたことが何度かある。完璧主義というのは、仕事もプライベートも何もかも完璧にこなす人、みたいなイメージがあった。
わたしは部屋を片付けられない女だ。嘘か本当か、片付けられない人には完璧主義な人が多いのだという。

完璧主義だけど片付けは苦手な人は、やるからには完璧にしないといけない、完璧にするには荷が重すぎてなかなか手がつけられない、散らかった部屋を見ると完璧じゃない自分を見せられるようで、押入れや一部屋に押し込んで隠して「否認」してしまう。


まさにわたしのことだと思った。散らかっている部屋をどうにかしたいと思いつつ、片付けるからにはピカピカの状態になるまでにしないといけない、という強迫概念のようなものにとらわれ、動けなくなる。

少し片づけたら、他がまだ散らかっていても、「ここはきれいになったね」と認めるよう心がけ、「きちんと並べなくてもこの引き出しに入れればOK」等ハードルを下げていったら、完璧に綺麗と汚部屋の極端を行き来するのではなく、完璧じゃないけど快適なレベル部屋をキープできるようになってきました。


たぶん完璧主義の人には、何にでもこういう心がけが大事なのだと思う。自分が満足する結果にしないといけない、というある種の強迫から脱しなければ、片付けられないときのように動けなくなったり、自分のキャパを越えてしまいやがて爆発してしまう。けれどそこから抜け出すことはなかなか難しい。

うつ状態を発症し2ヶ月の休職を経て、社内の仕事を何ヶ月かこなした頃、またもや社外での仕事の話が飛び込んできた。それは何度も関わっている業務であり、今までは「完璧に」こなせていたので、今回も大丈夫だと思って了承した。
それまで一緒に作業をしていた人が別会社に派遣となったので、違う人と作業をすることになった。その人はとにかく色々な人(特に社内の女性陣)から評判が悪い人で、だからといって一度了承したものを断るわけにいかないと決め付けたわたしは、また眠れない日々を過ごすこととなった。
それ以外にも、今までとは環境が違っていた。業務内容の記載されている書類は何度読んでも理解できなくて、例の評判の悪い人に質問したとしても「僕もわからないので○○さんに聞いてください」と言われ、○○さんに聞いてもこの人がとにかく適当な人なので、まともな返事が返ってこない。それまではこんなときに丁寧に説明してくれていたのが、さきほど記述した別会社に派遣となった人だった。こんなんじゃまともに仕事を進められない、とパニックになっているわたしに、評判の悪い人は嫌味ったらしく急かしてくる。パニックになっている人に急かしたとしても余計パニックになるだけだ。やがてわたしは泣きたいわけでもないのに涙が止まらなくなって、また評判の悪い人に「仕事中に泣いちゃいけないよ?」と言われ、泣きたくて泣いてるわけねーだろと心中罵倒しながら会社に戻り、そのままかかりつけの心療内科を訪ねた。「もう二度と社外での仕事はしない方がいいよ」と、病院の先生からも同居人からも後輩からも釘を刺された。

質問をしてもろくな返答をしてくれない○○さんは過去のわたしの仕事っぷりを買ってくれているようで、未だに仕事の話を持ってくる。今回は社内でできる仕事だと言われたので一瞬心が揺らいだけれど、環境がどうであれもう以前のようには仕事ができなくなっている可能性もあるので断った。
うつ状態になるまで、社外での仕事はサクサク進められて楽しかったし、周りから褒められることもとても嬉しかった。きっと「人から認められたい」という承認欲が高いのも、完璧主義者の特徴なのかもしれない。